風が通る家は、自然と一体化する家
2023.01.25
こんにちは😊✨
住宅アドバイザーの松尾です。
前回は光の心地よさについてお話しましたが、今回は風の心地よさについてお話していきたいと思います。
もうひとつの「通風」は、住まいのまわりの環境を熟知していることが鍵になります。
環境に合わせて窓を計画すれば自然に風が通る家になります。
どんな風な土地も、風が通る方向が季節によってだいたい決まっています。どちらに海があってどこに
山があるかといった大きな環境と、そのまわりの小さな環境。
わが家の場合は基本的に、昼間は南から北に風が吹き、夜は逆に北から南に風が吹きます。
なので、南北に窓があれば、窓を開けるだけで自然に風が吹き抜けていきます。南側の窓は小さいのですが、少し開けるだけでも家じゅうの空気が動くのがわかります。
家のまわりにも、風がどう吹くかという“小さな気候環境”があります。
窓の高さや形状を工夫することでこの小さな気候環境も利用することができます。
例えば縦滑り出し窓は、建物の壁に沿って吹く風を取り込むことができるといったことです。
風が通ることのメリットは、夏に涼しくて気持ちいいだけではありません。こもりがちな湿気をとばしてくれるし、空気の淀みも払ってくれます。現在の法律では、すべての住宅「換気設備」が義務づけられていることからもわかるように、通風は住む人の健康にも、住宅の健康にもとても重要なんですね。高密度・高断熱の構造に、熱交換機能つきの24時間換気設備。といった管理された住まいも快適だと思いますが、私はなんとなくラミネート加工された家を想像してしまいます。
窓を開けるだけで自然に風が通っていく。そのほうが、住まいも息をしているような気がします。「採光」と「通風」をしっかりプランすることは、ランニングコストの面でもメリットがあるのですが、のちのちのリフォームコストの点から考えると、水回りの位置と床も「変えない」前提でいたほうがメリットが大きいです。
水回りの位置は、リフォームの際に変えることは可能です。けれども、位置を変えるためには配管を変える必要があり、ただ水道管を延ばすだけでなく、床面の高さを変えなければならないケースも出てきます。
なぜなら、水を流すためには必ず勾配が必要であり、勾配をつけるためには床下の空間が必要だからです。ちょっと考えただけでも面倒、ですよね。私の場合もそうでしたが、中古住宅をリフォームする際には、水回りを含めた“間取りの大改造”を夢想してみたりすると思います。私は水回りの移動をちょっとほのめかしたりもしたのですが、そのときの設計士さんのさっと曇った顔を見て、すぐにあきらめました(笑)。もともとの水回りの位置に、私の暮らしを合わせるほうが簡単だったからです。
水回りの位置は、そのままにまわりの部屋の配置を変えるだけでも改善できることはたくさんあると思います。それからもうひとつ、あとで変えにくいものに、「床面」があります。
これも構造上の問題で、特にフローリングの場合は、張り終わった後にさまざまな造作を施すことがあるので、張り替えがおおごとになってしまいます。床面つながりといえば、床暖房もそうですね。床暖房を設置したいなら、ほかの予算を削ってでも先にやっておいたほうがいい。
もちろん、断線などの故障の際のメンテナンス方法も考慮しておく必要があります。
こうやってまとめてみると、「採光」と「通風」に関わる窓と、水回りの配管、床は、住まいの構造に近い部分なんですね。リフォームの際、基礎や柱といった構造をいじろう、という人は少ないと思いますから、窓と配管と床も「構造」と考えておくと、わかりやすいかもしれません。
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